～元始、子どもは天使だった～

2025年10月31日(金)今日の出来事

以前働いていた園では、しなくてはいけない自分のことを後回しして、人のお世話をしたがる子(結構こういう子はいます)に対し、「人のことはよかけん、自分のことをまずせなんたい～」とよく声かけていました。

ところがのぞみでは、自分のことより人のお世話をしたがる子に対し、止めるどころか、「優しいね！ありがとう。」等と逆の対応。肯定的に評価することを基本としています。

たんぽぽぐみの1歳児の子どもたちも、毎日のように友だちのお世話がしたい！の愛がいっぱい。１０月初めのまだ暑い時期のある日のこと。散歩先に汗だくで到着し、喉カラカラのはずなのに、自分が飲むよりも先に水筒を友達に持っていっていたひかり。じんやかんなも、自分の使命とばかりに友達にせっせと配って楽しそうな様子。誰がどの水筒かをよく覚え、渡していくのがとても上手で感心します。

別の日のおやつの時のこと。月齢が高い子達はおやつ後、自分の椅子を片づけに行くのですが、片づけていない友だちの椅子に気づき、当たり前のように自分の椅子と一緒に持っていくだいち。他にも、散歩先で帽子が脱げているこたろうに気付き、こたろうの頭に一生懸命被せてあげようとするゆい。誰に頼まれたのでもなく、自ら積極的に友だちのお世話に励む子があちらこちらで沢山見られます。このように、大人が“させよう”と構えず自然にしていると、小さい子でも人との関わり合いを自ら求めていく姿が、のぞみでは毎日のように見られます。

しかし、よその園では“子どもはまだ何もできないし、分かっていない”と決めつけて、だから教えてあげる事が正しい保育である。と考える園が多い傾向にあります。そのため、大人の評価や周りの環境が子ども同士つながり合おうとするのを阻んだり、大人側の“子ども目線で見つめることの大切さの理解“は、まだまだ進んでいないように思います。その結果、躾をしなくちゃ！と“させる保育”となり、子どもは自由に生き生きと花開く機会をどんどん奪われているのではないかと考えられます。そんな保育園・学校は、往々にして、子どもや職員の目の輝きが薄く感じるのは私だけでしょうか。

そして又、“人のことより自分のことをまずする、”という考え(教え)は、どこの学校でも保育園でも一般的だと思います。そんな中、敢えてその逆を行く、のぞみ流　“人のお世話をすることを肯定する”その理由は、他児に興味を持ち、お世話をしたい！という生まれながらにどの子にも備わっている天使の心を伸ばすからだと考える為です。

それを、人のことはよかけん！などバッサリ否定してしまうと、せっかくつながろうとしていた子ども同士の関係を断ち切ってしまうことになるため、のぞみでは敢えて止めずに温かく見守ったり評価したりすることを大切にしています。(とは言いつつ、「それより自分のこと先～！」と喉まで出かかったり心の中で叫んだりすることも正直今もあるフツーの保育士の私。まだまだ修業の身です！)

また、“人の役に立てた”という経験は、それを積み重ねていくことで、集団の一員としての自信や誇りにつながり、将来たくましく・楽しく生きていく、つまり社会性を育む基礎となります。又、自己有用感と言って、自分は役に立つ存在と感じる事ができる、自己肯定感を高める一因ともなります。自己有用感を高めることにより、自分に対する自信を高められるし、問題行動に走ることの抑止や、危険に近づくことの抑制等の効果も得られて良いことが沢山です。